初めての苔の観察、どんなポイントを見れば良いのでしょうか?
- 苔の魅力とは?
- 観察に必要なもの
- 観察の方法
- 採取の方法・必要なもの
をまとめました。
ぜひ参考にしてみて下さい。初心者向けです(^^)
コケは強い!最初に知っておきたいこと
苔の奥深さと魅力
(エゾスナゴケ)
地球における苔の歴史はとても古く、化石で発見されている最古の植物(4億年以上前)もコケ植物と同じ構造をしています。その生態の詳しいことは未だよく分かっていない部分も多いのですが、現在確認されているだけで世界に2万種類以上いると言われいます。
生態系ピラミッドの最底辺にいるとも言われる苔ですが、それは逆を言うと生態系に大きな影響を与えているということでもあり、人間など動物が滅んでも苔は生き延びるだろう、というほどの生命力を持っています。
とても小さくて、一見弱そうに見える苔。しかし地球上の生き物としてはとても強く、たくましい。そこが大きな魅力と言えるのではないでしょうか。頂点にいたはずの恐竜だって滅んでしまうのですから。
色々な苔の顔
苔は強い、とは言ってもその性格はさまざまです。
・どこにでも生える図々しさがあるもの
・日陰でイキイキと輝くもの
・人があまり来ない場所にしか生息しない人見知り
・光が大好きで水もあまりいらないもの
・カビと仲の良い変わりもの
・人間の住む庭が大好きな嫌われもの
など色々。これらを人間の性格に例えて楽しむ人もたくさんいます。
苔が好んで生息する場所は、その種類によって異なります。そのため行ったことのない公園や川、神社、山などで見たことのないものに出会えることも、コケ観察の醍醐味です。街角など、どこに行っても見られるので四六時中楽しむことができます。
詳しくなってくれば、苔を見るだけである程度の環境がわかる。(日当たりが良いけど、この苔がいるってことは湿っているな、とか)そんな楽しみもあるかもしれません。
まずは観察してみよう
苔の観察は、種類を覚えてからやろうとするのは至難の業です。
似ているようで違うものも多いため、実際に見た経験がものを言います。
分類や生殖機能などの細かい仕組みよりも、まずは観察して疑問に思ったものを調べるのが一番良い方法です。
苔の観察に必要なものと方法
初めての観察なら目視で十分だと思います。
やる気がみなぎって仕方がない人はルーペを用意しましょう。
ただし、天気の良い日は乾燥して冬眠状態に入る性質があるため、縮れて形が分からなくなっています。なので
スプレーボトル
があると便利です。小さいもので構わないので、水を入れて持ち歩きます。縮れた苔を見つけたらシュッとスプレーすると、早いものは一瞬でフワッと元の形に戻ります。
例えば・・・
こんなものが一瞬で・・・
ここまで変化します。
雨の次の日などは、キレイに開いていることが多いです。
100均でスプレーを買うなら、ダイソーで
別にダイソーファンではありませんが、キャンドゥなど他の100均のものはノズル部分が壊れやすかったです。吹き出しかたもダイソーのものの方が断然良好。
容量は大体500ml前後。いっぱい水をつめなければ持ち歩く時に重くならないし、自宅でのコケ栽培にも使えます。本格的なものを買う前にまずは1本!という人にはおすすめです。(小さい携帯スプレーに関しては分かりません、悪しからず・・)
コケの観察の方法
コケっぽいな、と思ったら近づいて観察して下さい。形や色が違うのが分かると思います。
携帯などで写真を撮影しておくと、後で種類を調べるときに便利です。ポイントは
- 縮れている状態
- 開いている状態
- アップ(上、横、2方向から)
- 引き(周辺環境も映るように)
これらを押えておくと同定しやすいです。
(開いている状態が似ているコケでも、縮れ方が違ったりします)
もっと詳しく記録するなら
- 朔(さく)
- 日当たり
- 土壌(湿り気・砂土・泥土など)
も分かると後々役立つと思います。
朔(さく)はコケからピヨーンと伸びている細い糸状のもので、先端に胞子を蓄えています。
例えば、こんなものとか・・・
こんなもの
です。苔の種類によって朔も異なるので、同定に役立ちます。
苔の採取と育成
持ち帰って家で楽しむ場合は、ビニール袋・スプーンや割り箸、手袋があると便利です。
苔は植物と違い、深く根を張りません。そのため土の下1~2cmのところをスプーンや割り箸ですくうと、ペロっとまとまって(横がつながったまま)採取できます。ビニール袋などに入れて持ち帰りましょう。
ポイント!
自宅で苔を長く楽しむためには、採取した苔の好む環境を整えることが大事です。
日当たり、土の湿度など、採取した時の状態をメモしておくと良いでしょう。
(インターネットでもある程度調べることはできますが、あやふやな情報も多いです)
(※取ってはいけない場所もあります。景観を乱さないように節度を守って採取しましょう。)
育ちやすいコケ、育ちにくいコケ
道路や公園など、身近な場所で生きていけるコケは育てやすいものが多いです。
一般的に育てやすいコケは「スナゴケ」や「ハイゴケ」と言われており、まきゴケにチャレンジしている人も多いようです。
▼ハイゴケ(本当はもっとキレイ)
その他、私が育てた感じでは「ホソウリゴケ」や「ギンゴケ」も育てやすいです。冬に3日に1回、ドボンと浸かるくらい水をやっていたらメキメキ増えました。
▼増やしたホソウリゴケ
自宅で苔を楽しむ方法
自宅で苔を楽しむ方法は色々あります。
- そのまま植えて観察する
- まきゴケをして増やす
- 苔玉を作る
とりあえず、取ってきた苔をきちんと保管していれば、まきゴケも苔玉も後から楽しめます。
好きな方法で楽しんで下さい。
水やりは夕方~夜に
苔は種類にもよりますが、「蒸れ」に弱いものが多いです。冬場は水がたっぷり(ドボドボ)にしても平気なのに、夏に水が多すぎると蒸れて弱ってしまう、なんてこともあります。
自然界の苔がそうであるように、昼間に多少乾燥して縮れたとしても、生きていくことができます。ですから気温が下がり始める夕方~夜に水をたっぷり与え、その後は放置して下さい。
植物を育てる場合、土の表面が乾いたらたっぷり水をあげる(朝)、というのが普通ですが、苔と植物は違うんですね。
苔は観察も育成も、経験がものを言います。失敗しながら方法を探しましょう。苔は強いのに難しい、それもまた醍醐味です。
学者でも分かっていないことが多く、調べれば分かることばかりじゃない。
だからこそ、楽しい。
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