(出典:追悼の森)
故・土井勝さんと言えば、私たちの母親世代にとって昭和の家庭料理の先生と言っても過言ではない存在ですよね。(現在私はアラサー)
「どれを作っても美味しい」
「シンプルで作りやすい」
「基本とコツが学べる」
そんな声が多く聞かれ、「持っててよかった!」と言われる料理本を発表してきた人です。
今は次男の土井善晴さんがテレビや雑誌で活躍していますが、父・土井勝さんの「シンプルで王道な家庭料理」をしっかり受け継いでいますよね。(「きょうの料理」「おかずのクッキング」「プレバト!」などに出演)
土井勝は「おふくろの味」を作った人
(photo by panDx1)
今となっては当たり前のように使われる『おふくろの味』という言葉。一節によると土井勝さんのテレビ出演によって流行した言葉とされています。
なぜ「おふくろの味」という言葉が土井勝さんによって一般化されたのでしょうか?それは日本の時代の変遷と大きく関わっていると考えられています。
メディアの発達
メディアが発達しきっていなかった時代、日本の日常食は家庭や地域による味の差が大きいものでした。その差を縮め「家庭の味」を一般化したうちの一人が土井勝さんです。
現在でもNHKで放送され続けている「きょうの料理」や「おかずのクッキング」に出演し、誰にでも分かるように、簡潔な言葉で説明された「手軽に作れる家庭料理」は主婦のお手本となりました。情報が少ない時代の人々の「普通の家庭料理って何だろう?」に答えを出したのです。
これが[土井勝=家庭料理=おふくろの味]を決定づけた理由の一つと言えるでしょう。
「食の欧米化」と逆行する「日本食」の勢い
食が豊かになったバブル景気以降、アメリカなど海外の食文化が一般化し、日本の家庭料理の欧米化が始まります。すると同時に「日本の伝統的な食」を危惧する声は高まってきます。
当然、季節などを重んじた日本食に対しての需要も増加していきますが、普段からお店のような手間をかけた料理はしていられませんし、どのように料理するのが正しいのかも分かりません。メディアが発達したとは言っても、情報は今ほど豊富に出回っていませんでした。ですから
「基本に忠実で、わかりやすく、簡単で、誰にでも美味しく作れて、温かみのある日本食」
そんな料理がテレビで見られる。土井勝さんの家庭料理は欧米化という時代に逆行するように一般化していきました。
もちろん、時代の追い風だけでは「おふくろの味」という言葉が流行するまでにはならなかったはずです。土井勝さんの持つ感性と料理技術、指導能力あってこそのもの。本当に凄い人だと思います。かつて料理の仕事をしていたことがありますが、土井善晴さんを見ていても、こんなに上手に教える人は見たこと無いです。
土井勝のベストセラー「日本のおかず500選」
これぞ家庭料理の決定版!!と言っても過言ではない1冊です。
土井勝さんが残したレシピが満載。数々のレシピを考案してきた土井勝の集大成であり、今でもベストセラーとなっています。(現在、土井勝さんのレシピ本は他にほとんど発売されていません)
「現代のおふくろの味」は洋食の割合が大きかったり、使う野菜の種類も違ってきていますが、本来のおふくろの味はこういうものでしょう!という内容です。
ほっこりしたお皿に、ほっこりした料理。特に昭和生まれの人なんかは「これこれ!」と感じる料理ばかりです。
土井善晴との違いは?
基本的にスタイルは一緒です。家庭で簡単に作れて、美味しいと喜ばれる家庭料理。ただし、昔と今では「食材」と「食べる人」が違います。
例えば今は昔より彩り豊かに飾り付けるのが好まれますし、洋食も当たり前となっていますよね。使っている野菜も昔と栽培方法が違うので(水耕栽培とか)、下処理の仕方がずっと簡単になっています。
そういった人々や野菜の変化に合わせて土井善晴さんが分かりやすく変えている、という感じでしょうか。
ニンニクやバターを使ったこってり料理もたまには美味しいけれど、使わなくてもしっかり美味しい、そんな料理が詰まっています。
野菜の下処理なんかも書かれていますが今は必要ないものが多いです。でも、余裕があれば覚えておいて損はありません。料理の基本ですから。
素材別にレシピが掲載されているので、安く買ってきた食材で何を作ろうかな?なんて時にも役立ちます。レシピ数、内容を考えると値段の価値は十二分にありです。
あったかい家庭料理を目指す人はぜひ。
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