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2015年芥川賞作家・小野正嗣が語る「百年の孤独」ガルシア・マルケス【林修・世界の名著】

 2015/10/29  

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ゲストは2015年芥川賞に受賞に輝いた小野正嗣さん。
立教大学准教授で、日本の小説家でもあります。

選んだ名著はコロンビア出身のノーベル文学賞作家、ガルシア・マルケスが1967年に発表した「百年の孤独」。

小野正嗣さんはとにかく自由に(聞き取りにくい表現で)喋りまくってました・・・。林先生がイマイチついていけてませんでしたが、そのくらい奥深く、世界に大きな影響を与えた歴史的名著です。

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「百年の孤独」ってどんな本?

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)
コロンビアの架空の村「マコンド」を舞台に、一組の夫婦から始まった「家族の反映と滅亡までの百年間」を描いたこの長編小説は、現実と幻想が入り混じった「マジックリアリズム」という独特の手法で描かれ、世界各国でベストセラーとなっている。

マジックリアリズムとは?

番組で解説がなかったので補足します。

マジックリアリズム(魔術的リアリズム)とは日常にあるものが日常にないものと融合した作品に対して使われる芸術表現技法で、主に小説や美術に見られる。幻想的リアリズムと呼ばれることもある。

マジックリアリズムは表現方法を区分けする言葉であるため「こういうものだ」と言うのが難しいのですが、日本で言えばノーベル文学賞の「大江健三郎」をイメージすれば分かりやすいかなと思います。

村上春樹さんのようなスリップストリーム的文章(現実の世界を異世界からのぞき見たような感覚を与える文章)もマジックリアリズムと言われることもあるそうですが、マルケスの場合はどちらかと言えば「神話」のようなリアリティのある非現実性を感じさせます。村上さんが描くような幻想的現実世界とはかなりイメージが異なります(個人的異見)

「百年の孤独」の人気と影響力

13(出典:time-az.com)

林修先生は今回初めて本書を読み「率直に言って参りました。自分の頭の中にある理解の装置をはみ出すんですよね」と言い、深い理解をすることが難しい小説だと感じたようです。今回は読み方を小野さんに教えてもらうつもりで番組に挑んだそう。

また「ガルシア・マルケスは世界でも人気のある作家ですよね。『一番好きな本何ですか?』と聞かれた時、『百年の孤独』って答えたらかっこ良くないですか?」ともおっしゃっていました。

小野正嗣さん曰く、数年前に日本の雑誌で「世界の小説ベスト100」という企画があった際に並みいる強豪を抑えて1位に輝いたのが「百年の孤独」で、そのくらい日本の書き手(小説家)にも大きな影響を与えた小説、とのこと。

小野正嗣が選んだ一節・冒頭部分の魅力

ガルシア・マルケスが最も苦労したという冒頭。
「やっとの思いで出だしを書き終えた後、この先どうなってしまうんだろうと自問した日のことを今でもはっきり覚えている」と言うほど、濃い内容の書き出しになっています。

長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思いだしたにちがいない。

マコンドも当時は、先史時代のけものの卵のようにすべすべした、白くて大きな石がごろごろしている瀬を、澄んだ水が勢いよく落ちていく川のほとりに、葦と泥づくりの家が二十軒ほど建っているだけの小さな村だった。

独特の時間と空間が提示されている

小野正嗣さんが興奮して喋りまくっていた部分です。

冒頭部前半ではブエンディア大佐の大きくまとまった人生の時間を提示している、と読むことができます。「長い年月が流れて」という過去、「遠い日の午後」という長い歳月・時間のまとまり、「銃殺隊」という死を感じさせる未来。このように膨大な「過去」から死というの「生の完結(未来)」までを表現し、読み手に一つのまとまった物語世界を感じさせます。

後半では「石」と「川」を使った巧みな文章で「始まりも終わりもない大きな時間の流れ」を表現。先史時代という大きなスケールを表す表現を使い、「石」が長い時間をかけて「けものの卵」のような「すべすべした石」となる。そしてその石の「丸」という概念には時間としての終わりがなく、壮大な時間を連想させます。それだけ大きなスケールの「時間」というものを見事に書きだしたのが冒頭部分と言えるのです。

ロシア文学的登場人物は日本にも共通点が?

「百年の孤独」はロシア文学的に多くの人物が登場し、非常に複雑な家系図、相関図があります。

林先生始め、多くの人が「これ誰だっけ?もっと分かりやすい名前にしてよ」と感じる部分ですが、小野正嗣さんは少し違った捉え方をしているようです。
14(出典://blog.livedoor.jp/youjikjp/)

この家系図は一見複雑に見えますが、日本の田舎に見られる「多数の親戚や近所の人々が入り乱れている中で、きちんと誰が誰かを認識している状態」に似ており、とても近しいものを感じるとのこと。

これには番組を見ていて「そうだ!それだ!」と納得。
今後はロシア小説をもっと近しい感覚で読めそうです。大収穫。

二人の最も印象に残ったシーンと登場人物?

ここはあまり深く触れられていませんでしたが、本を読んだ際に注目してみて下さい。

印象に残ったシーン

小野「長男ホセ・アルカディオの死」
林修「レメディオスの昇天」(とても有名なシーンです)

印象に残った登場人物

小野「ウルスラ」
林修「ピラル」

まとめ

林先生が完全に聞き手にまわったため、本の理解についてのキャッチボールが少なかった回・・。
小野さんがいかに本書を好きかを語りまくり、嬉しそうにマニアックなトークを繰り広げていました。

おかげで記事にしたくてもできない部分が多くて十分な魅力を伝えきれていないと思います。
それでも「腹立つぐらいすごい本」という林先生の言葉と、小野さんの嬉しそうに話す表情だけで「百年の孤独」が素晴らしい名著だと感じ取れる、そんな放送でした。

最後に、小野正嗣さんの「百年の孤独」を象徴する一言。

「それでもなお 生き続ける」

小野正嗣さん、芥川賞受賞作品

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